~漂流中~

2017年6月、舌癌になった妻(39)が亡くなった。ADHDの息子(6)、頼りない自分(41)を残して…

■ADHD02 激しい抵抗

息子は、2歳頃から、
思い通りにならない事に対して激しく抵抗し、自分の思いが通るまで暴れ続ける、という傾向がありました。



諭しても

叱っても

別の好きなことに気を向けようとしても

場の空気を変えようと、場所を変えようとしたり、まったく別の事をしようとしてみたりしても

暫く見守り、癇癪が収まるのを待っても

お母さんにあやされても

私があやしても

やりたいことの順番を入れ換えて、次にやろうとしていたことを先にやろうとしても



全てを いやだ! と否定し、
激しく泣き叫び、暴れ、癇癪を起こす。

でも、どんな子でも気に食わない事があればへそを曲げるし、
好きなことに気を向けられても嫌になった気分は戻らない。
それくらい、魔の2歳児と呼ばれるこの時期、当たり前の事だと思っていました。



ただ1つ厳しかったのは

"嫌な気分になった所までの全てを巻き戻し、自分の思い通りになるストーリーをもう一度やりなおす。"

これをやるまで絶対に癇癪が収まらない。



例えば、

車に乗って、1~2分走ったところで突然癇癪を起こして車の中で大暴れ。
激しくイヤイヤと暴れ、人を叩く。



車に乗らない!降りる!



という意思表示をしながら
ウワァー!ギャー!と泣き続ける。



言葉のやりとりも、まだ十分ではないこともあり、
正直、何が起きたのかまったくわからない。



色々聞いても何が不満の原因なのかわからず、

ただ、車に乗る前はコギゲンだった。
乗った後から不機嫌だった。

と考えると、車に乗るときに何かがあった、と思わざるを得ない。
(この事件の頃は、すでにこういう傾向があると知っていたので、後の対処が出来たわけですが…)



一度車を止め、何が不満だったのかよく話をしてみると、どうも車に乗る時、こっちから乗ってと促されたドアが気にくわなかったらしく、本当は反対のドアから乗りたかった、と…

普通なら、この辺のやりとりが出来るくらい冷静になれば、
「ごめんごめん!次からは自分で選ぼうな。」
などとあやして、お母さんがだっこすればそのうち収まると思うのだが、うちの子はここからが違う。



冷静になるために車から降りた後、
自分が乗りたかった方の扉からでも車に乗ろうとしない。
またそこで激しく抵抗し、手を引っ張り、

違う!戻る!!

と言う。



さっき車に乗った場所まで戻ると言うのだ。



嘘だろ!?勘弁してくれ…
と思ったが、外出先の道端に車を止めて
暴れる子供と車外で揉める家族。
端から見れば、

何やってるんだあれは…

という光景である。



このままでは収まらない
ということを既に何度か経験していたため、

揉め続けてもしょうがないと、
車に乗ることも嫌がる子を抱えて、再度車に乗り、さっきの場所まで戻る。

すると、

こういう風に乗りたかったの!

と言わんばかりに反対側のドアから乗り、
ゴキゲンになり始める。

自分の要求さえ通ってしまえば、
不機嫌なんてどこ吹く風。
全てを忘れていつも通り。



怒られたことも、

言い聞かせられた事も、

約束も、

全てを忘れていつも通り。



相手が両親だろうが

おもちゃを買ってくれる祖母祖父だろうが

保育園の先生だろうが

自分に対して指示を出す人

ルールを要求する人

自分の思いとは別の行動をしようとする人…



相手が誰でも同じでした。



当然保育園でも問題を起こします。



じっとしていられない

座った姿勢を維持出来ない

不要なちょっかいを出す

やり返されると、相手が悪い!と揉める

人がやっている事が気になり、奪い取る

奪い取られた相手がその遊びをやめると息子もやめる

次に遊ぼうとしたものを先手を打って奪い取りにいく

誰かが先生の膝に座っていると退かしてでも先生の膝に座りにいく

ルールのある遊びが出来ない

自分が勝手にルールを作り、従わないと癇癪を起こす

順番を守れない

滑り台の上で並んでいるときに前の子を膝で無理矢理押し出す

負けることを認められない

負けても、負けた人が勝ちだ!と言い切り、勝った人を不快にさせるまで罵る

男の子、女の子問わず強く抱きつく

噛みつく

舐める

みんなでやる活動が出来ずに寝転がる

やらないなら向こうに行ってて、と言うと やる! と言いそこに居座るがやらない

自分の想いが通らなければ、自分の言う通りにやり直せ!と要求する…



起きた問題をあげたらきりがない。



5歳になった今では、前に戻ってやり直せ!という要求は無くなったが、

どんなやりとりの場でも、話し合いや、相談の余地はなく、

自分の思い付きの意見が通らない限り、

癇癪を起こし、激しく抵抗するところは変わっていない。



何よりも厄介なのは、

他人からの、あれをやろうね、これをやろうよ、という誘いや、指示の全てに対して

ほぼ確実に拒否され、バトルに突入してしまうこと。

しかし、言わなければ自発的にやろうとはしないこと。

言った相手を悪者とし、人を傷つける暴言、暴力を振るうこと。



トイレに行こうね。

という言葉を完全に拒否し、家でも、外でも、目の前でおしっこを漏らす毎日を想像してみて欲しい。