■舌癌06 手術① 当日~翌日
2015年11月末
前回記事、前日の話を少し。
手術前日、妻は笑っていました。
やっとこの痛いのとオサラバだよー💕
癌だろうが何だろうが
さっさと取っちゃって欲しいよー(゜▽゜*)✨
その気持ちに応えるように私も笑います。
不安を心の奥に押し込んで、
これで治るんだと信じて。
昼は、妻は病院で食事でしたが、
私は、朝から付きっきりだったので、
妻の両親と入れ替わりで、
好きなもの食べてきなよ!
と言われ、近くの牛タンレストランへ。
牛さんのベロ食ってきたよ👅(笑)
と、しょうもないブラックジョークで笑わせてやろうと思って…
このときは、癌なんて笑い飛ばしてやろう!
と、そんな気分だったのです。
案の定、
今からベロ切るって人の前で牛タン食うとかよく出来るね(#`皿´)
と妻にも、妻のお母さんにも半ギレで呆れ顔されましたが(笑)
先生から手術の説明をされ (前回記事)
麻酔医から全身麻酔の説明があり、
それ以外は特にやることもなく、
ツムツムなんかをやりながら遊んで過ごしていました。
そうそう、筆談用の小さなのホワイトボードも100均で買って用意してきました。
そして手術当日。
手術時間はおよそ3時間。
舌の部分切除を行い、切除断端に癌細胞が無いかどうか術中迅速診断を行い、問題がなければ縫合して終了。
手術途中、迅速診断結果が出た時点で立ち会い者が呼ばれ、結果を確認すると共に、追加切除等が必要な場合の許可を求められる。
病院に着いた私は、妻と一緒に手術室まで歩いていき、
じゃっ!行ってくる!
と、まるでドラゴンボールの孫悟空のように勇ましく手術室に入っていく妻を、ドラマとかで見たことのある手術室の両開きの扉の所で見送る。
自分は、少しあふれ始めてしまった仕事のメールだけでも片付けてしまおうと、パソコンを持ち込んで待合室へ。
しかし、待合室には他の患者のご家族も沢山いて、
そこでパソコン開いて他の人より場所を使ったり、コンセントを占有したりすることが迷惑だと感じ、結局スマホをいじりながら過ごす事くらいしか出来なかった。
手術開始から2時間ほどだろうか。
説明室の方に来るよう呼ばれ、主治医の先生の術中迅速診断の結果説明を受ける。
まず目に付いたのは、
小ビンに入った、人体標本のような…妻の舌だ。
予想より遥かに大きい。
そして、先生から状況を説明されます。
今、一通りの手術、迅速診断が終わり、縫合をしたところです。
これが切り取った部分です。
癌で間違いないと思います。
扁平上皮癌というもので、詳しくはこの切除部分をこれから病理検査に出して、スライスして調べます。
舌の切除断端には癌細胞は見つかっていませんから、全てを一塊として取りきっていると思います。
後はもう少し麻酔から覚めて、状態が安定するまで待って、病室に戻ります。
手術は無事想定通りの内容で終わり、安堵の気持ちと共に、
ちょっと噛んだだけでもあれだけ痛い舌なのに、あんなに大きく切って、痛くない訳がない💦
という気持ちになってしまい、涙が出てきてしまいました(ノ_・。)
ベッドごと移動する妻に寄り添い、
大丈夫だよー
悪いもの全部取りきったよー
と話しかけながら病室へ。
妻はしきりに手をパタパタさせて、
熱い…
という事を手振りで訴えてくる。
汗もビチャビチャにかいている。
体を触ると相当に熱い。
どうやら、手術中は体温が高い方が良いらしく、わざと体温をあげた状態にするんだとか。
熱をはかってみると39℃以上。
団扇で扇いであげると気持ちがいいらしく、もっと扇いで欲しいと訴えてくる。
まだ麻酔も覚めきらず、ぼんやりとした状況の中、熱さの次に訴えたのが 痛み。
どこが痛いのか確認すると、
頭全体がガンガンする…
手のひらで頭全体を覆うように、痛みのある場所を示す。
痛みはどんどん強くなり、しきりに痛いと訴える。
しかし、声はだせない。
口も殆ど動かせない。
筆談用のホワイトボードに、何が辛いか、何をして欲しいか書いてもらおうとするも、手が震え、字にならない。ホワイトボードを持っているという事も難しい。
痛み止めは足りているのか、今より強くすることは出来ないのか。看護師に確認する。
主治医の先生にも話が伝わり、すぐに病室に来てくれたが、そこで初めて聞く一言。
妻さんは、喘息もちだから、強い痛み止めが使えないんだよなー。
聞いた瞬間に ハッ とした。
妻は喘息もちで、造影剤を使った検査などは喘息発作が出る可能性があり、出来る限り避けたいと言われていた。
痛み止めも同じなのだ。
通常の舌切除手術で投与出来る量の痛み止めが投与できない。
通常の手術後の痛みのレベルではないのだ。
何とか、他に出来る痛みを止める方法は無いですか!?
と言ってすぐに用意してくれたのは、座薬と、口内で舐めるチュアブル。
取り急ぎ座薬を試す。
しかし、30分ほど経過するもあまり効果はなく、呼吸が荒くなり、ホワイトボードを要求される。
か こ き ゅ う
と、ぐにゃぐにゃの字で書く。
恐らく吐き気、全身の痺れのような感じが出てきている。
自分も急性胃腸炎からくる過呼吸を何度も経験しており、過呼吸になり始める時の感じはよく知っている。
それを看病してくれた妻も、過呼吸の感じはよく知っている。
舌切除して、痛みもあり、縫合もまだしっかりと付いていない状態で 吐く なんていう強い反射を舌が受けたら…と思うとゾッとする。
すぐにナースコールを押す。
過呼吸、吐き気、痛みが強いことを伝えると、やはり喘息が怖くて痛み止めを躊躇される。
このままでは駄目だ!
と思い、妻の気持ちを代弁する。
喘息とは言っても、過去に喘息発作が起きたことはない!
季節の変わり目に息苦しいと感じることがある程度で、それ以上の事は起きたことがない!
どうか、可能な限りの痛み止めを使ってあげてほしい!
この言葉で状況が一変。
加減を調節して痛み止めを使います。
バタバタと看護師が動き回り、新しい点滴を持ってきて繋ぐ。
暫くして、辛そうにしていた妻の表情が柔らかくなり、痛みからくる過呼吸は収まってきたようだ。
少し落ち着きを取り戻し、うとうとし始めてきた時には、もう外は暗くなっていた。
明日、自分は会社のイベント対応で夕方まで病院に来れないことを話し、こんなときくらい代わりの人間出してくれよ…と前々から恨み節ではあったが、緊急事態の時は代わるという約束の上で、今のところ術後経過は安定しているということで…
明日は妻の母親が看病してくれる事に。
付き添い可能な時間目一杯、20時まで妻の辛さを可能な限り緩和し、後を夜勤の看護師さんに託す。
明日、仕事終わったらすぐに病院行くからね!
と伝え帰宅。
次の日の朝、LINEで連絡が来て
無事だよー
一睡も出来なかった💧
と。
内容はともかく、LINEが使えただけで昨日よりは間違いなく良くなってる筈。
俺も仕事頑張ってくるから、妻も頑張れ!
と返して仕事へ。
仕事の合間もたまに連絡をとり、返事が返ってきては安心する。
そうして、夕方病院へ。
痛みはまだあり、舌、顎、喉あたりがパンパンに腫れている。
また、朝方気分が悪くなり吐いてしまったと💦
切ったとこは大丈夫か聞くと、
大 丈 夫
と書いてくれた。
手の震えも無くなり、まあまあ辛さは取れてきているようだった。
ただ、吐いたのが 血液 だったらしく、相当ビックリしたそうだ。
手術跡からの出血を飲んでしまっていたらしく、血液は消化出来ないので、量が多くなると必ず吐いてしまうらしい。
そうなんだ(゜ロ゜;
ドラキュラも(以下略)
なんてバカな話しも出来るくらい回復してきているのは凄く良いこと(笑)
妻は、血だらけになった寝巻きを着替え、シーツを変え、朝から大変だったらしい💦
このまま、後は良くなっていくのを待つだけだ!と、とても前向きな気持ちになるのですが…
そんな簡単には終わらず、手術翌日からは食事の事で悩むことになるのです。