■舌癌05 入院、手術前日
2015年11月末
いよいよ本格的な戦いが始まります。
この時点の診断結果は "舌癌のような" もの。
舌の右側側面、やや奥にあり、
腫瘍の大きさは最も大きい部分で約1.9cm程。
舌の表層から中心に向かっての奥行きは、1.4cmくらいだったと記憶しています。
舌癌としてのステージはギリギリ1。
腫瘍サイズが2cm以下で、転移がなければステージ1。
2cm以上で、転移がなければステージ2。
腫瘍サイズに関わらず転移があればステージ3。
しかし、前回までの記事に書き忘れていましたが、画像診断結果の中にとても気になる文言が。
リンパ方向へ伸びるような浸潤を認める。
画像を見せられましたが、詳しく見せられた訳ではないので、遠目には何も分からなかったです。
その浸潤は数ミリの範囲であり、腫瘍を大きめの安全域をとって切除すればいいでしょう。と。
安全域は、はっきりとした腫瘍との境界線から約2cm設定されたため、舌の右半分近く(全体の35~40%程)が切られる事に。
リンパへの転移、腫れ等は、画像上は無く、触診でも異常は認めず。
舌切除手術後、癌の残存を潰すための頚部リンパ周辺への放射線治療は必ず行うため、今の時点でリンパ切除までは不要でしょう。とのこと。
通常、癌だと確定診断出来ていないものは、治療後の QOL (Quality of Life / 生活の質) も重要と考える現代の医学では、予防的に切ってしまうということが少なくなってきていると聞いています。
リンパ管は、血管に沿うように全身に広がっていて、体にとって邪魔なもの、老廃物等を血管の中に取り込まれないようにする働きをしています。
また、リンパ節は関所のような役目があり、異物を塞き止めている間に体内の免疫応答を発動して異物を駆除し、ただの老廃物として体外に排出する流れに戻していく役割を持っています。
これらとても重要な役目を持つリンパを、予防だからと切ってしまえば、免疫機能自体が弱まったり、老廃物が流れる先が無くなり、凝りに代表される様々な疾患を起こすことになるため、問題がおきていないのであれば切らない方がQOLは保たれる。
しかも、放射線で癌の残存は駆逐出来ると考えているため、そちらの方が体の負担も、その後の免疫力維持も期待できる、と。こういう訳です。
しかし、転移を確実に潰すためにはあらかじめリンパを取ってしまった方がいい、という考えもあり、特に頭頚部癌の場合は頚部リンパへの転移が容易に起きるため、疑いがなくてもリンパは取るべきという考えもあります。
悩みました。
が、悩んで、調べてから選択するなんて時間的猶予はありません。
"先生がベストと考える方法で治療をお願いします。"
と頼むしかありませんでした。
後に、この後の記事で詳しく書いていく事を先に言ってしまいますが、
結局、右頚部のリンパは舌の手術の傷も十分に癒える前に、郭清手術する事になっていきます。
そして、郭清した側の、郭清範囲よりも更に外側のリンパへ、癌は容易に転移をしていくという恐るべき動きを見せることになります。
この時に、癌の恐るべき浸潤、転移能力を知ると共に、
リンパ郭清をしたからといって、
リンパ転移をしなくなるという事を約束するものではない!
という事実を突き付けられる事になっていきます。